会計システムは、企業の経理部門がおこなう会計処理や債権債務管理、経営管理において欠かせない存在です。
この記事では、最新の会計システムについて、種類や機能、選び方、導入メリットなどを紹介します。
1.会計システムとは
「会計システム」は、企業における会計業務(帳票や決算書などの書類作成、取引記録など)を電子的に行なうためのシステムです。
会計システムの役割は、仕訳入力・帳簿作成といった事務作業を効率化するだけではありません。
企業の経済活動の記録、財務諸表への反映、債務債権の管理などさまざまな機能のシステムが存在します。
2.会計システムの種類
会計システムを役割別で見ると「財務会計システム」「管理会計システム」「債務・支払管理システム」の3種類があります。
それぞれの役割を単独で担うシステムもあれば、複数の役割について1つで完結できるシステムも存在します。
(1)管理会計システム
経営者や役員、部門責任者など、社内向けにまとめる会計を「管理会計」と言います。
管理会計によって自社の経営状況や部門別の損益状況が確認でき、経営戦略や資金調達などの意思決定に繋がります。
「管理会計システム」で社内の会計情報を把握し、スピーディーな意思決定を実現します。
(2)財務会計システム
「財務会計」は企業の会計情報を社外のステークホルダー(株主や取引先)向けに提供する財務諸表の作成を目的とした会計のことです。
そして「財務会計システム」とは、仕訳伝票の入力、帳簿や財務諸表の作成をサポートするシステムのことです。
取引入力、決算書作成、帳票出力など、財務諸表作成に関連する機能を持っています。
(3)債務・支払管理システム
支払手形、買掛金などの債務について、支払予定日や残高を管理し、支払いミスや遅延を防ぐのに役立つのが「債務・支払管理システム」です。
取引先ごとの債務状況を的確に把握し、支払業務を効率化することができます。
3.会計システムの機能
(1)管理会計システムの機能
予実管理
予実(予算と実務)を管理する機能です。この機能では、部門や事業ごとの予算と実際の費用を比較・分析できます。
経費管理
従業員の経費を見える化し、管理することができます。
経営分析
損益計算書、貸借対照表などの数値をもとに、経営状態を分析する機能です。経営状態の可視化にも寄与します。
シミュレーション
企業の会計情報をもとに将来の経営状況を予測する機能です。
(2)財務会計システムの機能
伝票入力
仕訳入力・登録を行なうことで入金伝票、出金伝票、振替伝票などを作成する機能です。
決算書作成
入力した仕訳を元に、損益計算書や貸借対照表など財務会計のための決算書を作成・出力することができます。
自動仕訳
これまでの入力データから仕訳を予測入力する機能です。AI機能搭載の会計システムに備わっています。
データ連携
銀行の入出金データやクレジットカードのデータなど、外部データを連携する機能です。入力ミス削減にも繋がります。
(3)債務・支払い管理システムの機能
支払消込
支払済の債務を消込する機能です。手動で消込入力するものと、明細から自動で消込をおこなうものがあります。
支払分析
支払情報や債務残高に基づく分析機能です。どの部門で支払が多いか、債務が過剰でないかなどを管理できます。
4.会計システムの提供形態
(1)クラウド型
設備や場所を選ばず、インターネット上のサービスにアクセスする手軽さから近年普及しているのが、「クラウド型」の会計システムです。
データはクラウドサーバ上に保管されるため自社でバックアップを取る必要はありません。
また、常に最新バージョンを使えるため法規制への対応も容易かつ、他のクラウドサービスとの連携サービスも豊富です。
(2)インストール型
ソフトウェアを購入し、パソコンなどの端末にインストールすることで利用できるのが「インストール型」の会計システムです。
ソフトウェアを購入後は、クラウド型のような利用料は発生せず、インターネットを利用できない環境でもシステムを利用することができます。
クラウド型と比較して初期費用が高額になりやすい点は注意が必要です。
5.会計システム導入のメリット
(1)経理業務の効率化
会計システムは、伝票入力や自動仕訳、帳簿作成など手入力の負担を軽減する機能が備わっており、経理業務の迅速化・効率化に繋がります。
また入力した様々なデータから帳票やグラフが自動作成されるため、書類作成の手間も大幅に削減できます。
(2)会計処理のミスを軽減できる
従来は経理担当者が手作業で行っていた業務をシステムが担うことで、転記ミス、入力ミスといったヒューマンエラーを防ぐことができます。
入力した数字のチェックもシステム側が行い、数字に矛盾がある場合はエラー表示が出るようになっており、正確な経理業務を叶えられます。
(3)社内経理情報の一元管理
会計システムを導入することで、経理に関するあらゆる情報をシステム上に集約することができます。
各事業所の数字を本社で取りまとめる場面や、税務対応や監査対応といった場面において非常に役立ちます。
(4)最新の制度に対応できる
税率や税制度の変更などがあった際、会計システムのアップデートや設定変更だけで容易に対応することができます。
また、電子帳簿保存法によって、帳簿をデータとして保存することも可能になりました。システム活用は保管コストや手間の削減にも繋がります。
6.会計システム導入のデメリット(注意点)
(1)導入コストがかかる
会計システムを利用するには、ソフト購入費用(インストール型)や利用料金(クラウド型)が発生します。クラウド型の場合は毎月の利用料金の他に初期費用がかかる場合もあります。
またインストール型の方が導入コストが高くなる傾向がありますが、長期間利用を想定すると、クラウド型利用料金の総額の方が大きくなる場合もあります。
(2)操作に慣れるまでは時間がかかる
会計システムの多くは、画面を見ればどんな操作をすべきかわかるよう工夫されていますが、慣れないうちは設定や入力に時間がかかるかもしれません。
また、簿記などの基本知識が入っている前提で設計されているシステムもあり、経理経験者でないと操作が難しい場合があります。
そのため操作を習得する時間も考慮し、余裕をもった導入スケジュールにしましょう。
7.自社に合った会計システムの選び方
(1)導入目的を明確にする
会計システム導入で自社が何を成し遂げたいのかによって、どのシステムを選ぶかは変わってきます。
仕訳入力や帳票作成ができればOKなのか、経営判断に役立つ分析結果が必要なのかなど、目的を明確にした上でシステムを選びましょう。
(2)システムの連携・移行ができるか確認する
自社ですでに利用している給与計算システムや販売管理システムなどがある場合、それらと連携可能な会計システムを選ぶことで、導入後の運用がスムーズになります。
また、これまでエクセルでデータをまとめていた場合であれば、エクセルから直接データのインポートが可能かどうかもポイントです。
(3)制度改正時の柔軟性もチェック
会計システムの多くはアップデートで法改正に対応できるようになっています。制度変更に柔軟に対応できるシステムかどうかも確認しておきましょう。
制度変更で計上内容が増えた場合などに機能を拡大できるシステムを選べば、追加費用を抑えることにつながります。
(4)サポート体制
サポート体制やマニュアルの充実度も重視することをおすすめします。
自社の経理業務の運用に合わせて会計システムを導入してもらえる支援サービスがあれば、スムーズに運用開始することができます。
また、導入直後は不明点が多くでてくるかと思いますので、迅速に回答を得られるかどうか、電話やメール、チャットなどのサポート内容はどうなっているかも確認しておきましょう。
(5)システムの拡張性を確認
自社の業務や運用に不足している機能をどのような方法で代替するか検討しましょう。
場合によっては、不足機能をカスタマイズして拡張する必要があるかもしれません。
その際は、会計システムの拡張性が重要になってきます。
おわりに
会計システムの種類、機能、メリット、選び方などについて紹介しました。
システムを導入することで、煩雑な経理業務を一気に効率化するだけでなく、会社経営の意思決定を迅速化させることにも繋がります。
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