経理業務にはスピードと正確性が求められますが、その分どうしてもミスが発生しがちです。
この記事では、経理でミスが起きやすいポイント、ミスが起きる原因、ミスを防止する方法をお伝えします。
1.経理でミスしやすいポイント
(1)二重計上のミス
よくあるのが、売上や経費で同じ金額を誤って2回計上してしまうミスです。
例えば領収証で経費精算をおこなったものを、クレジットカードの明細から再度経費として精算してしまったり、仮で発行された請求書とその後発行された正式な請求書両方を処理してしまう、などが挙げられます。
また、売上金額を扱う場合、二重計上によって売上金額が大きく変わり、ミスに気づかないまま申告してしまえば、余分な税金を払うことになってしまいます。
(2)在庫の計上漏れのミス
在庫を抱えている企業では、経理に在庫の管理も求められる場合もあるかと思います。
棚卸作業時に在庫を少なく数えてしまったり、配送中で事業所に未着分の商品を数に入れ忘れてしまったり、といった計上漏れもありがちなミスです。
在庫の計上漏れは税金の過少申告にも繋がります。
一度申告した税額を修正する際、罰則金(過少申告加算税)を払わなければいけないため注意が必要です。
(3)金額など数字のミス
最も多く起こりうるのが、金額など数字に関する入力ミスではないでしょうか。
パソコンで数字を入力する際、キーを押し間違えてしまったり、「3,698」と入れるべきところを「3,968」と入力してしまったり、桁数を間違えたりなど、数字に関する細かいミスはさまざまあります。
数字に関するミスは、決算や納税額にも影響が出てしまいます。
2.なぜ経理業務はミスが起きやすいのか
経理業務のミスを防止するために、ミスの原因を把握する必要があります。
原因をしっかり把握することがミス防止策に繋がります。
(1)作業量が多い
経理担当の仕事は、帳票・伝票の管理、請求業務、支払い業務などお金に関わること全般で、それぞれ件数も膨大です。
さらに金銭を扱う立場として誤りの無いよう慎重に取り組む必要があり、スピードと正確性が同時に求められます。
経費精算システムや請求管理システムなど、単純作業を自動化できるサービスを導入していない場合、これらを全て手作業でおこなうため、自然とミスが起きやすくなります。
(2)複数の部署が関わる
企業の経理部門は営業部門や資材部門など、さまざまな部署と連携しながら仕事を進める必要があります。
担当者間で認識にズレがあったり、部署間でルールが異なっていたりすれば、その分ミスが起きやすくなります。
また、経理や会計に関する知識は他部署から理解しづらいものです。
「処理の仕方が間違っていても経理で修正してくれる」と考えている社員も少なくないため、どうしても経理部門の負担が大きくなります。
(3)専門性・属人性が高い
簿記、仕訳、決算、法改正への対応など、経理業務には専門的な知識が求められます。
同じ経理部の中でも、手形管理の担当者と、予算編成の担当者では求められる知識が異なります。
そのため、業務の属人化が発生しやすい上、
「他にわかる人がいないのでチェックしてもらえない」
→「ミスが残ったまま正式な書類として申告」
といったことになりかねません。
3.経理のミスを防止する方法
ミスが許されない経理業務。ただし人間はミスをするものです。
「ミスは起こり得る」という前提のもとに、ミスの原因を把握し、そのミスを防ぐために対策を立て、次に活かしていきましょう。
(1)ダブルチェックの実施
今日からでも取り組める方法として、複数人で書類の数字や処理内容を確認する「ダブルチェック」が挙げられます。
各業務に主担当者と副担当者を決めて、主担当者が作成したものは副担当者が、副担当者が作成したものは主担当者がチェックを行う、といったルールを策定すれば、スムーズにダブルチェックを実施することができます。
また、担当者不在時にもチェックが行えるよう、部署内でダブルチェックの方法を共有し合うことで、スピーディな対応が可能です。
(2)マニュアルを作成する
経理業務は高度な知識を要するものが多く、新しく経理担当になったメンバーにとっては負担が大きいものです。
業務内容やミスしやすい作業についてあらかじめマニュアルを用意しておけば、ミス防止に繋がると同時に、新メンバーの育成や業務の属人化の解消にも繋げることができます。
マニュアルには過去に起きたケアレスミスやヒューマンエラーの事例も掲載し、再発防止に役立てましょう。
(3)会計システムを活用する
前項の経理業務でミスが起きやすい理由として、作業量が多いことを挙げました。
会計システムを導入し、これまで手作業で行っていた業務を自動化することで、ミスを根本から減らすことができます。
帳票間の数字の転記といった手作業も、システム内で自動連携が可能なため、ミス削減だけでなく業務効率化にも直結します。
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