減価償却とは?わかりやすく解説!仕訳・計算方法・目的

経営者や経理担当者なら理解しておきたい「減価償却」。
なんとなくわかってはいるけれど、という方に向けて、減価償却の基本をわかりやすくまとめました。
減価償却のメリットとデメリット、減価償却できる場合とできない場合の違いなども紹介していますのでぜひ参考にしてください。

目次

1.減価償却の基本

(1)減価償却とは

建物や自動車、機械設備やパソコンなどの経過によって価値が減少していく資産を減価償却資産といいます。減価償却とは、そのような減価償却資産を取得した際にかかった費用を、各資産の耐用年数に応じて分割して費用計上する会計処理のことです。

(2)なぜ減価償却を行うのか

例えば200万円の機械を買った場合、数年先まで使用でき利益生み出すため、200万円を購入した年度だけの費用として計上するのは適切な会計処理とは言えません。
翌年以降、費用がかかっていないのに収益だけが発生することになってしまうからです。
この先何年も使う機械を買ったわけなので、使用可能期間(耐用年数)に応じて、何年間かに分割して計上する方が実態に即していると言えます。

2.これって減価償却できる?できない?

(1)減価償却できる資産

固定資産には、建物や自動車、備品などの有形固定資産と、特許権や意匠権、ソフトウェアなどの無形固定資産の二種類があります。
減価償却できるのは、使用可能期間が1年以上で購入価格10万円以上の有形固定資産と無形固定資産です。

例えば以下は減価償却の対象になります。

有形固定資産

  • 建物
  • 建物附属設備(冷暖房や電気設備など)
  • 構造物(塀や門扉など)
  • 機械及び装置
  • 自動車
  • パソコン
  • 工具、器具及び備品

無形固定資産

  • ソフトウェア
  • 特許権
  • 意匠権
  • 商標権

(2)減価償却できない資産

減価償却ができないのは、事業に使用していない資産や、年月の経過で価値が減少しない資産です。
例えば以下のようなものは、減価償却の対象になりません。

  • 土地
  • 借地権
  • 骨董品
  • 美術品

3.減価償却の仕訳方法

(1)直接法

減価償却費を固定資産から直接差し引くのが「直接法」です。
無形固定資産の場合は直接法を用います。
固定資産の現在の価値が一目で把握できます。

(2)間接法

固定資産は減らさず減価償却累計額を計上するのが「間接法」です。
取得原価とこれまでの償却額の合計がわかります。
有形固定資産には間接法が用いられます。

4.減価償却の計算方法

(1)定額法

毎期同じ金額を減価償却する方法が「定額法」です。
個人の場合は税務署に届け出をしない限り定額法を用いて計算しますが、法人の場合は固定資産の品目ごとに法定償却が定められています。
例えば、建物や建物附属設備は定額法で、機械装置、車両、器具備品は次に説明する定率法で計算します。
定額法の計算式は【減価償却費=取得原価×定額法の償却率】となります。

(2)定率法

耐用年数の初期に多くの減価が生じ、使用年数で減価が少なくなっていくと仮定する償却方法が「定率法」です。
初期に多くの費用計上を行うことができるため、税務上有利なのが定率法です。
定率法の計算式は【減価償却費=期首残存価額(取得原価-減価償却累計額)×定率法の償却率】となります。
固定資産を購入した初年度が最も使用頻度が高く収益に直結しやすいことから、定率法は実態に即した計算方法と考えられています。

(3)生産高比例法

固定資産の使用の度合いに応じて減価償却費を計上するのが「生産高比例法」です。
按分基準には生産高を用いるため、収益と減価償却費が対応するきわめて合理的な計算方法といえます。
ただし、適用資産は航空機や鉱業用機械など、総利用時間が物理的に確定できるものに限定されます。
計算式は【減価償却費=(取得原価-残存価額)×当期利用量/総利用可能量】となります。

5.減価償却の耐用年数

減価償却には、耐用年数(その資産の使用可能期間)が品目ごとに税法で定められています。
一例を上げると、パソコンの耐用年数は4年、複合機は5年、事務机や椅子は15年、などです。
例えば10万円のパソコンを購入した場合、減価償却費は4年に渡って計上することになります。
その他、あらゆる減価償却資産の耐用年数がまとめられた資料が国税庁のサイトにありますので、参考にしてください。

主な減価償却資産の耐用年数表

6.減価償却の注意点(中小企業の特例)

中小企業で青色申告などの一定の要件を満たす場合、30万円未満の固定資産を一度に必要経費にすることが特例で認められています(1事業年度1年あたり300万円まで)。
「少額減価償却資産の特例」という名前の制度で、適用期限が2022年(令和4年)3月末まででしたが、現在さらに2年延長され、2024年(令和6年)3月末までの適用期限となりました。
少額減価償却資産の特例を上手に活用することができれば、大きな節税効果が期待できます。

特例についての詳細は国税庁のページよりご確認ください。

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